【十の瞳】
 


扉が閉まると同時に、クーラーが室温を調節するためか、


突然プツンという軽い音を立てた切り、冷気を送るのをやめてしまった。


部屋の中が静かになった。
 

急に寂しくなる。


この感覚はホームシックにも似ていた。
 

そんなに帰りたいのか? 


あの家に? 


十二愛は自嘲する。
 

だけど、いつになったら帰れるんだろうという不安は常にあった。
 

このまま世界に忘れられ、食料も尽きたら、皆で静かに死んでいくしかないだろう。


生き残りたい者は、死者の肉ですら食むだろう。



不吉なことを考えながら、十二愛は机の上にあった懐中時計を手繰り寄せ、蓋を開けた。


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