【十の瞳】



八時三分。
 

すっかり時間の感覚が狂ってしまっていて、全然八時な気がしなかった。


ただ、とにかく気怠かった。
 

ぐしゃぐしゃに乱れた髪を掻き上げて、しばらく目を瞑った。
 

髪に指を這わせて、あ、と思った。


編み込みの部分がほどけかけている。


でもそれをピンで補正する気にもなれず、とりあえず今にも落ちそうなヘッドドレスだけ、外してしまおうと思った、その時。
 

凄まじい悲鳴が聞こえてきた。
 

すぐ近くだった。
 

十二愛の顔色がさっと変わる。


肌が、ざわりと粟立った。
 

直後に、コロが部屋に飛び込んできた。


相当に慌てている様子だった。
 


彼はベッドに座っている十二愛にがばりと抱きつくと、耳元で小さく呟いた。



「八野さんが……死んでる」


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