【十の瞳】
とある考察サイトに、彼女は架空のユーザーであると書かれていた。
あるいは、彼女は【マスター】の娘、あるいは息子なのではないかという説まであった。
根拠の一つは、名前の読み方である。
その説を打ち出した人間曰く、『十二愛』を『ジュニア』と読むのだとしたら……という事らしい。
僕はちらりと、【マスター】と【十二愛】を頭の中で並べてみた。
……大雑把に、【マスター】を三十五歳、彼女を十八歳くらいだと仮定してみる。
(実を言うと、彼女はせいぜい十五歳くらいにしか見えないが、
このツアーへの申し込み条件として、十八歳以上だという項目があったので)
すると、もし二人が親子だとして、【十二愛】は、【マスター】が十七歳の時に出来た子……。
あり得ない話でないとしても、少々考えづらい。
服のセンスも二人は同じ系統だと思えるが、偶然と言ってしまえばそれまでだ。
僕は、考えない事にした。