【十の瞳】



全員の自己紹介が終わると、給仕をしていた初老の男性と、


奥で調理をしていたらしいエプロン姿の初老の女性が出てきて並び、慇懃な挨拶をした。



「わたくし共は、当館の使用人の【藤浦】と、その妻【タキ】でございます。


この度のミステリーツアーの間、皆さまのお世話をさせて頂きます故、宜しくお願い致します……」
 


藤浦、と名乗った男性は、まさに『執事』といった感じだった。


愛想がないのも、それっぽい。


でも、それがいい。



全ての仕事をそつなくこなす、プロフェッショナル。


やはり、こういった洋館がとてもよく似合う。
 

対して、奥さんのタキさんは、クールなマニュアル人間のような印象の夫とは対照的に、


柔和な表情で笑うおっとりとした女性だった。






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