【十の瞳】
あの名字は、「ヨイナラ」と読むのか!
僕が長年の疑問に終止符を打たれたショックで呆けていると、俄かにテーブルがざわつき始めた。
信じがたい事に、彼女の正体は、こんなにも若い女性であった。
若い……、というより幼い。
パッツンの前髪に、ストレートの黒髪は腰の辺りまで伸び、
フリルとレースで飾られたドレスは、彼女に似合いすぎて、まるでお人形のようだった。
無愛想で無表情な上、肌も陶器のように白く、睫毛もびっくりするほど長い。
薄紅色の頬は、彼女が再び食事を始めたために忙しく動いているが、
口元は兎のようにあどけない動きをしていた。
可愛い! と叫びたくなる。
興味津津で覗きこんでいたグースが、「もへっ」と口走った。
何のことかはよく分からない。
とにもかくにも――四十八願十二愛。
彼女の存在は、決して架空のものではなかった。