【十の瞳】
「お料理は、皆さまのお口に合いましたでしょうか……?」
と控えめに尋ねられ、目が合った僕が「はい、とても」と答える。
しかし、僕には名前も分からないような高級料理(おそらく、フルコースだ!)を、
たった一人ですべて最上級の味に仕上げる彼女の腕前は、相当なものなのだろう。
どちらかというと、タキさんは割烹着を着て味噌汁を作ったり、
魚だの里芋だのを煮付けているようなイメージだが、人は、見かけによらない……。
(んー、こんな御馳走、食べた事無い……)
行儀が悪くならないように気を付けながら、庶民的な事を考えていたら、
ふと明日の朝ご飯の事まで気になってしまった。
うわぁ、卑しいな、僕……。
口にこそ出さなかったが、ちょっと恥ずかしくなる。