【十の瞳】
夕食の後、「ぜひお話を」と数人に取り囲まれた四十八願十二愛が、
「眠いので、寝ます」
と自室に逃げ、下戸の僕は酒盛りにジュースで参加して、
えどがぁさんやグース達と、過去の『事件』について、遅くまで話し合った。
桜木蝶子は、気付いたらいなくなっていた。
結局、酒盛りに参加したのはほとんど男性陣で、女性は大年増の八野真綾だけだった。
ちぇっと思う。
やがて話題は【マスター】やこの地域の話になり、夏という季節も手伝って、だんだん怪談じみたものになっていった。
「ここは元々、ダムの底に沈むはずだった場所なんだよ」
ワイングラスを傾けながら、えどがぁさんが言った。
その横でグースが、うんうん、と頷く。
初耳だった僕は、おつまみのチーズをぱくつきながら、そうなんですか? と間抜けな返事をした。