【十の瞳】
「部屋の外から、声をかけたんですか?」
えどがぁさんが尋ねる。
「はい」
「中に入って確認は?」
藤浦さんは、首を横に振った。
「しておりません。
勝手に入室しますと、旦那様は癇癪を起されて、手近にあるものを投げられたりしますので……」
「それはまずいですね……。
もし、急病だったらどうするんです」
えどがぁさんの、もっともな意見に、全員が頷いた。
そして協議の結果、藤浦さんと、代表のえどがぁさんで、渡り廊下の先にある別館――マスターの部屋まで様子を見に行くことになった。
二人の悲鳴が聞こえてきたのは、それからすぐの事だった。