【十の瞳】
駆け付けた僕等が見たのは、血まみれの生臭い部屋の前で、腰を抜かしている藤浦さんの姿だった。
えどがぁさんは、肝が据わっているのか、ミステリー好きが生理的嫌悪に勝ったのか、部屋の中にいた。
室内は荒らされまくって、とにかくひどい有り様だった。
椅子が倒れ、机の上にあったらしい本もパソコンも、床の上にばらまかれている。
そこに更に、床と言わず壁と言わず、とにかく赤黒い染みが、大量に飛び散っていた。
おまけに、暖房がかかっているおかげで、ひどい匂いだった。
でも、死体らしきものは見当たらない。
僕が躊躇いつつも部屋に入っていくと、他の数人も、おっかなびっくり続いて来た。
ただ、十二愛だけが、怯えた表情のまま、藤浦さんの横に立ち尽くしていた。
「これ……本物の血なんでしょうか……」
ファニーペインが尋ねると、えどがぁさんは、
「ヒトのものかは分からない……けど、ペンキなんかじゃない事は、どうやら確かなようだよ」