【十の瞳】
バスタブも無く、電話ボックスほどの広さも無いが、充分だった。
昨日も、部屋のシャワーで済ませたし。
僕等の客室は、二階にある。
誰がどの部屋なのかも、参加者名簿に記載されているので分かる。
渡された時は、修学旅行のしおりみたいだと面白かったけど、今はそんな余裕もない。
止まない雨。
不安を掻き立てられる。
――僕がシャワーを浴び、一息吐いてホールに戻ろうと部屋を出た時。
十二愛が、同時に隣の部屋から出てきた。
彼女は僕と鉢合わせたと気付いた途端に、動揺した。
ん? と不思議になる。
彼女は、ここに来た時と同じ、大きなトランクを転がしていた。
どうして、荷物を持っているんだろう?