【十の瞳】



バスタブも無く、電話ボックスほどの広さも無いが、充分だった。


昨日も、部屋のシャワーで済ませたし。
 

僕等の客室は、二階にある。


誰がどの部屋なのかも、参加者名簿に記載されているので分かる。


渡された時は、修学旅行のしおりみたいだと面白かったけど、今はそんな余裕もない。
 

止まない雨。


不安を掻き立てられる。
 

――僕がシャワーを浴び、一息吐いてホールに戻ろうと部屋を出た時。
 

十二愛が、同時に隣の部屋から出てきた。
 

彼女は僕と鉢合わせたと気付いた途端に、動揺した。
 

ん? と不思議になる。
 

彼女は、ここに来た時と同じ、大きなトランクを転がしていた。
 

どうして、荷物を持っているんだろう?


< 47 / 150 >

この作品をシェア

pagetop