【十の瞳】
「……小さい頃から、そうだった。
私、あんまり友達もいなくて、本ばかり読んでた。
本を読んでいる間は、幸せだった。
……だけど、そうやって一人で過ごしているうちに、
同い年の友達と、どうやって接すればいいのか、分からなくなってた……」
それには、僕も同じように、思い当たる節があった。
僕の中には、貪るように本を読んだ記憶しかない。
人付き合いもほどほどだったし、休日は誰かと外に遊びに行くよりも、
――一人暮らしをいいことに――寝間着のまま、読書したりPCをいじって、『紡ぎ車』のログを読んでいる方が好きだった。
「……人の目が、怖い。
注目されるのが、怖いの……!
……皆から何て思われているか、分からない。
『あいつならこの事件を解決できるだろう』って、変に期待されてるかもしれないし……
あるいは、失望されるかもしれない。
何も出来ないまま終わって、『こんな程度の奴だ』って……
はは、私、それも、嫌なの……欲張りで、惨めだね……」