【十の瞳】



「ぐすん……本物の死体なんて、生まれて初めて見た……」
 

恥も外聞も無く、十二愛は弱音を吐きまくった。


「怖かった……」
 

僕は思わず――彼女の手を、ぎゅっと握りしめた。
 

彼女は一瞬びくりとなったが、やがて応じるように、手を握り返してきた。


「でもさ……出ていかない方がいいよ。


きっと、危ないから……」



そう言うと十二愛は、ゆっくりと頷いてくれた。


「僕が、えどがぁさん達に、話を付けてあげる……。


なるべく、部屋から出なくてもいいように、取り計らってもらうよ……」


「本当に?」
 

十二愛は、上目遣いに僕を見た。
 

彼女は驚いていた。


僕は微笑む。


「うん。心配しないで」


「あ、ありがと……」
 



――ああ、僕は信頼されている。
 

僕は、この子を守ろう。


何があっても。
 


そう、密かに決めた。






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