【十の瞳】







十二愛の部屋から出たところを、たまたま通りかかった蝶子に、見られてしまった。


彼女は無表情のまま、「ひゅう♪」と口笛を鳴らすと、


拳を握って親指を立てたポーズでウィンクし、自分の部屋に引っ込んでしまった。


何やら、誤解を受けた気がする……。


僕はホールに降りて、えどがぁさんを探した。


食堂にはいなかったので、一階のあちこちを見て回る。


キッチンをひょいと覗きこむと、グースがいた。


「すいません」と声をかけると、


「うどどどど……どっ、どうしたんですかな? 


こ、コロ君……」
 


冷蔵庫の前で、コーラのボトルを猫ばばしようとしていたグースが、警戒しながら言ってきた。




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