【十の瞳】
しかし僕が、彼女は具合が悪く、あまり部屋から出られる状況ではなさそうだと説明すると、全員が露骨に落胆した。
なんだ、所詮は小娘か……とでも言いたげな様子だ。
彼等は――警察に通報できない以上、この事件を自分達の手で解決しなければならないと判断したようだ。
それもそうかもしれない。
周りは廃村で、この館以外、人が住めるような環境ではないという。
そしてこの館には、タキさんと藤浦さん以外、『紡ぎ車』のスタッフはいないらしい。
……だとすれば、考えたくはないが、マスターが犯人でないのなら、
平三郎を殺した犯人は、この中にいる事になる……。
場を仕切っていたのは、えどがぁさんだった。
まあ、適任だろう。
タキさんが、新しくコーヒーを淹れに退室した。
僕は構わないと断ったのだが、お代わりを欲しがった人もいたからだった。