【十の瞳】
やがて、グースが現れ、思いつめたような様子で、
「あのぅ……お昼とかって、まだでしょうかね……」
時計を見ると、とうに正午を過ぎていた。
食事の事など頭になかった僕等は拍子抜けして、何だ、そんな事か……と小さく笑った。
慌てたのはタキさんだけで、
「簡単なものでよろしければ……」
と、すぐさまキッチンに向った。
タキさんは、さっきからずっとコーヒーのお代わりを運んだり、お茶菓子を補充したりと、動き回っていた。
きっと、何か作業をしないと不安なのだろう。
「――救助、いつ来るんでしょうね」
僕はレースのカーテンをめくり、雨の降り止まない空を見た。
よほど厚い雨雲の下にあるのか、昼間だというのに妙に暗かった。
そして、ヘリコプターらしきものも見えない。
もっとも、この悪天候の中、ヘリコプターを飛ばせるのかも分からなかった。