【十の瞳】
 


その友人は、頭が半分無くなっていたらしい。


「血まみれで、ぐちゃぐちゃで……よく知ってる顔だったのに、


正直、世の中にこんなにも醜い顔があるのかって思っちまったよ。


悲惨だった」
 

あの顔が、忘れられないのだという。
 

だから彼は、死体を見るのは初めてではないし、


平三郎の死体にも、それほどダメージを受けていないのだという話だった。


「……で、こっちの腕は、その事故の後遺症で、まだ麻痺が残ってんだ」
 

ファニーペインは、左腕を掲げて見せた。
 

よく見れば、彼の腕には大きな傷が残っていた。


内側だったので、今まで気が付かなかったのだ。



「この麻痺の所為で、時々腕が攣っちゃうんだよね。


作業中でも何でも」


「ああ、だから初日に、よくフォーク落としてたんだ……」


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