【十の瞳】



だけど、彼の気持ちも理解出来た。
 

本当にここには、何も無い。
 

テレビも繋がっていなければ、ネットだって使えない。


情報社会に身を置いて、一日何時間もPCを使っていた僕達が、いきなり何もないところにいるのだ。


そのうち、誰かしら禁断症状だって出るかもしれない。
 

異常な空間。


それに気付いていない振りをしないと、頭がおかしくなりそうだった。


「それにしても、十二愛ちゃんは、一人で閉じこもって何してんのかね……」


「あ、グースさんもそうみたいだけど……」


「キモオタは別にどうでもいい。


どうせアニメでも観てんだろ」


「ええ、どうやって?」


「DVD、DVD」


「なるほど……」


「あんな痛い奴、視界にも入れたくねえ……」
 

吐き捨てるように言う。


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