リアル
「警視庁の警部様が来てるってことは、他殺の可能性が高いの?」
薫の質問に、生野は苦笑いをした。
まるで刑事のような口調や単語だ。
「君が思ってる通りだよ」
生野は薫と共にコンビニへ向かう途中だ。
現場の住所を聞いた時、何故すぐに薫のアパートに近いと気付かなかったのだろう。
生野はそれを、寝起きに聞いたから、ということで片付けた。
本来は、何度訪れようと、薫のアパートの住所など聞いたことがないからなのだ。
「空き家の中で殺されたわけ?」
薫は豊満な胸の前で腕を組ながら訊いた。
「いや、空き家の前に死体遺棄」
生野は本来ならまだ一般人には話してはいけないことを口にした。
薫がそれを言い触らす心配のない女だと分かっているからだ。
そうでなければ、いくら顔見知りとはいえ、こうも簡単に事件のことは話さない。
例え恋人であろうと、家族であろうと、捜査状況を外部に洩らすのはタブーなのだから。
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