リアル
隆は目の前に並べられていく料理に思わず口の中に唾液が溜まるのを感じた。
そして、腹の虫は今にも物凄い音を立てそうだ。
「よし」
生野はそう言って真新しい炊飯器の蓋を開けた。
バイトを終えて帰宅すると、大荷物を抱えた生野が隆の部屋の前にいてのだ。
炊飯器にフライパン、鍋などの調理器具一色に、食材や調味料。
それに皿や器。
様々なものを生野は隆の部屋へと運び込んだ。
隆がどうしたのか、と訊くと、生野は笑いながら車で来た、と答えた。
質問の意図は違うのだが、それを伝えるのも面倒なのでそのままにした。
そして生野はそれらを駆使して、隆の目の前に料理を並べていった。
「後はオーブンレンジだな」
生野は茶碗に飯をよそりながら呟いた。
隆の部屋には弁当を温める為の電子レンジしかないのだ。
そんなに揃えられても、と隆は考えた。
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