リアル
人は誰だって悩みを持っている。
生きている限り、悩みながら生きていくものなのだ。
「しかし、そんなに想われて彼氏さんは幸せだね」
裕児はコーヒーを啜ってから言った。
短めの前髪から形のいい額が覗いている。
「そんなことないです。重いだけですよ、こんな女」
京華は顔の前出手を振った。
その中指には去年のクリスマスに生野から贈られたシルバーリングが光っている。
今年のクリスマスまで後少し。
去年は運がよかったのか生野が事件に関わっていることはなく、一緒に過ごすことが出来たが今年はどうなのだろう。
京華はまた気分が落ちるのを感じた。
自分がこんなにも独占欲が強いとは生野と付き合うまで知らなかった。
「重いなんてこと、ないよ。好きな子にそれだけ想われるのは嬉しいことだよ」
裕児は微笑んだ。
「ありがとうございます」
京華もそれに微笑んで返す。
好きな子に、か。
京華は心の中で溜め息をついた。
生野は自分のことを本当に好きなのだろうか。
自信はない。
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