リアル
しかし、薫の予感は皮肉にも的中したのだった。
辿り着いた先には、妹である美咲の亡骸が無惨に転がされていた。
仰向けで横たわる美咲に近寄るまでもなく、絶命していることは明らかだった。
だが、身体は勝手に駆け寄った。
案の定、美咲は息をしていなかった。
薫は腹の底から何かが沸き上がるのを感じた。
悲しみ、憎しみ、悔しさ。
様々な感情がまぜこぜになり、とても言葉で表せるものではなった。
美咲の頬に触れても、ただ冷たいだけで、まるでそれは人形のようだった。
涙も叫び声すら出ない。
衝撃だとか、そんなものではない。
「あんたが悪いんだよ?」
小田のその声は事情聴取で聞いたものとは違っていた。
あの時は何もかもから追い詰められたような声をしていたのに、今は全てから解き放たれたような声だ。
「あんたが、理由があろうと、殺人は殺人でしかない、なんて偉そうに説教垂れるから」
小田はそう言った。
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