リアル



ということは、今目の前に美咲の亡骸が転がっているのは自業自得だと。


自分があんなことさえ言わなければ美咲は殺されなかった。


薫の心は今すぐに発狂しそうだった。


殺してやる。


薫はその言葉を胸に刻んだ。


そして、ジャケットの胸ポケットに仕舞っていた拳銃に手を伸ばした。


小田が電話を寄越す少し前、全国で指名手配をしている凶悪な殺人犯が見付かったのだった。


そして、薫達新米は拳銃を携帯して待機、という指示が下されていたのだ。


運がいい。


薫はその時本気でそう思った。


そして、銃口を迷うことなく小田へと向け、安全装置を外した。


演習以外で銃を構えるのは始めてだったが、緊張も何もなかった。



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