リアル




「それだよ」


生野は目を輝かせて若月のまだ初々しい顔を見た。


若月は生野の言わんとしていることを理解出来ずに、ただ目を丸くしている。


「被害者三人は同じ毛布に包まれた。となると、二人目の被害者のアパートに、犯人が毛布を持ち込んだことになる。おかしいと思わないか?」


若月は少し考えた表情になった後すぐに、あ、と声を漏らした。


「被害者宅にも毛布くらいありますよね」


そうだ。


それは断言出来ないのでこれから調べるしかないが、ある可能性のほうが高い。


もしないとしても、布団など、代用出来るものは幾らでもあるはずだ。


それをわざわざ、大きな毛布を持ち込んだとは考えにくい。


ゼロではないが、そんなことをいちいち言っていたら捜査は進まない。


「となると、二人目の被害者が殺害されたのはアパートではないかもしれない。いや、むしろ違うだろう」


生野は自分の推測に自信を持ってそう言った。


たまたま、被害者宅の毛布と犯人が使用した毛布が同じものだった可能性も捨てきれなくはない。


だが世の中、そう都合よく偶然は起こらないものなのだ。



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