リアル



隆は気が落ち着いたところでようやく起き上がった。


微かに頭が痛い。


隆は水を飲もうか考えながらもう一度布団に倒れ込んだ。


薬を飲む程の痛みではない。


隆は布団を頭まで被り、その匂いを嗅いだ。


昨日、生野から電話でしつこく布団を干すように言われ、仕方無くそれに従ったのだ。


すると、夕べ寝る時に、布団から柔らかい太陽の香りがした。


それは何とも心地よい香りで、温かかった。


そんな匂いに浸っていると、不意にまた眠気に襲われた。


ぼんやりとする脳に抵抗することなく隆はゆっくりと目を閉じた。


そして、三度大きく息を吸い込み寝る体勢を整えた。


だが、その瞬間、隆はがばりと起き上がった。


これだ。


あまりの発見に、眠気など何処かに吹き飛んでいた。


薫か生野に連絡をしなくては。


……いや、その前にもう一つ確認したいことがある。


隆はばたばたと布団から出て、押し入れへと向かった。


これなら可能かもしれない。


隆の手には一枚のタオルが握られていた。







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