リアル




「それで?」


薫はコーヒーカップを生野の前に置きながら訊いた。


「毛布に外に持ち出されたような痕跡はなかった」


生野は静かにコーヒーカップに手を伸ばした。


「本当の殺害場所は特定出来そうなの?」


薫の言葉に生野は首を横に振った。


そう簡単には分からないか。


薫は溜め息をついた。


美緒からもまだ被害者がサイトに登録していたかどうかは聞き出せていないのだ。


これはもう諦めるか、警察である生野に託すしかないのか。


「おーい」


沈黙が一瞬流れた時、扉を叩く音と共に隆の声がした。


薫は立ち上がり、扉を開けた。


そこには髪も結ばずに、息を切らした隆がいた。


こんなに息を切らすなど、どれだけの勢いで階段を上がってきたというのだ。


薫は呆れながらも隆を部屋の中に招き入れた。


「……生野さん」


隆は乱れた息を整えながら生野の名を呼んだ。


「よお」


生野は煙草に火を吐けながら隆の顔を見た。


そしてすぐに不可解そうな表情を作ったのだ。



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