リアル
仮に犯人がここの毛布を使い、丁寧にもどしたとすればその毛布には何らかの痕跡が残されているはずだ。
「すぐに手配します」
若月は再び手袋を嵌め、押し入れから毛布を引き摺り出した。
さすがに、そこまでの手間はしていないと思いたいがな。
生野は毛布を出す若月を見ながら思った。
殺害場所は確実に此処ではない。
生野はそう確信した。
恐らく、被害者は全員同じ場所で殺されているはずだ。
洗面台にわざわざ海水を張ったのは捜査の混乱を招く為だろう。
現にそんな罠に引っ掛かり、最初は顔見知りの線で捜査をしていたくらいだ。
本来の殺害場所に、被害者に抵抗した痕を残さず殺す方法が隠されているのだ。
一刻も早くその場所を突き止めなくては。
相手はまともな人間ではない。
それを解かない限り、警察への挑戦状のように犯人は殺人を繰り返すはずだ。
殺す相手など、拘りはないのだから。
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