リアル
「わざわざ私に進言することでもないだろう」
寿々子煩わしそうに眉を動かした。
そう言われても捜査には手順というものがあり、勝手に警察の権限を使うわけにはいかないのだ。
「それが証明されれば、次の被害者をだすことを防げるのだろう?」
「はい」
生野は背筋を伸ばし、大きな声で言った。
「なら、勝手にやれ」
寿々子はまるで虫でも払うかのように右手を振った。
「ありがとうございます」
生野は深く頭を下げてからその場を去ろうとした。
捜査会議が終わったばかりの空間はまだざわついている。
「生野」
そんな中でも、寿々子の声はよく響く。
生野は足を止め、素早く振り返った。
「ま、好きにやればいい。貴様の勘はよく当たるからな」
寿々子はいつも通りに嫌味っぽく笑った。
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