リアル




「わざわざ私に進言することでもないだろう」


寿々子煩わしそうに眉を動かした。


そう言われても捜査には手順というものがあり、勝手に警察の権限を使うわけにはいかないのだ。


「それが証明されれば、次の被害者をだすことを防げるのだろう?」


「はい」


生野は背筋を伸ばし、大きな声で言った。


「なら、勝手にやれ」


寿々子はまるで虫でも払うかのように右手を振った。


「ありがとうございます」


生野は深く頭を下げてからその場を去ろうとした。


捜査会議が終わったばかりの空間はまだざわついている。


「生野」


そんな中でも、寿々子の声はよく響く。


生野は足を止め、素早く振り返った。


「ま、好きにやればいい。貴様の勘はよく当たるからな」


寿々子はいつも通りに嫌味っぽく笑った。






..
< 200 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop