リアル





刑事たるもの、無心でこれくらい出来なければこの縦社会ではやっていけない。


こんなことくらいで犯人が逮捕出来るなら、何度だって頭を下げてやる。


これくらい、犯人逮捕と較べたら何てことはない。


生野は汚れた革靴を見ながら唇を噛んだ。


「しかし、よくやった。そこは褒めてやる。よし、徹底的に洗え」


寿々子の言葉に生野は顔を上げた。


後ろでは若月がよし、と嬉しそうな声を上げている。


「いってきます」


生野は大きな声で言い、若月の肩を叩いた。








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