リアル





確かに、実家の問題や婚約者がいるという立場でも叶えたい夢はあるだろう。


それを邪魔する権利は誰にもない。


「でも、二股は違うんじゃない?」


そんなのは、美緒との別れが成立してから付き合えばいいのだ。


「厳密に言うと、二股ではありません。菜々とは付き合ってはいませんから。でも、お互いに好きなのは事実ですし、それなら二股と何ら変わりはありませんから」


思いの外真面目な青年なのかもしれない。


薫は英治の顔を見ながらそんなふうに思った。


そして、ようやく当初の目的を思い出した。


「そういえば、美緒ちゃんがサイトを運営してるの知ってる?」


余りに唐突な話ではあるが、英治は間違いなくシロだろう。


そう思ったからこそ、直接的に訊いたのだ。


これは単なる裏付けとしての質問だ。



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