リアル
「デザート、頼んでいいか?」
隆の声に薫は我に返った。
「……ああ、いいわよ」
薫は前髪を掻き分けながら答えた。
隆の身体はどう見ても細身で、それは冬の厚着の上からでも分かる程だ。
なのに隆はオムライスを早いペースで食べ終え、しかもデザートまで食べようとしている。
若い男の食欲なんてそんなものなのだろう。
薫が見ていることにも気付かず、隆は真剣にメニュー表に目を落としている。
「すいません」
食べたいものが決まったのか、隆は大きな声で老婦人を呼んだ。
「このパンケーキと、コーヒー二つ」
隆が言うと、老婦人はにこにこしながら頷いた。
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