リアル
あの二人がサイトに登録していた場合、美緒に本名を知らせているはずだ。
本来なら直ぐにでも話を聞きたいところだが、どう動いたものか。
生野は考えながら背広の胸ポケットに手を伸ばした。
一時間以上煙草を吸わないのは無理だ。
生野は煙草を一本取り出し口にくわえた。
「ここ、禁煙ですよ。喫煙場所はあちらにありますよ」
生野はその声に思わずライターを落とした。
振り返ると、そのには細目の青年がいた。
ここの学生だろうか。
「ああ……すまない」
生野が答えながらライターを拾おうとすると、それより早く青年がライターを拾った。
「常勤のドクターじゃないですよね?」
青年はライターを生野に渡しながら言った。
微笑んだ形の目は、開けたなら鋭そうだ。
.