∮ファースト・ラブ∮
だけど、浮かれるあたしとは違う反応が返ってきた。
「ええ?
あの二股とか三股は必ずするっていう先輩と付き合う?」
あいちゃんは椅子をガタンと言わせて立ち上がった。
周りにいるクラスメイトたちは、そんなあいちゃんとあたしに注目している。
そんな注目度満載なあいちゃんなのに、気づいていない様子でそのまま話を続ける。
「……うん」
「だめ!!
だめだめだめだめ!!
麻生先輩だけは止めといた方がいいよ!!」
何度も何度も首を振った。
「なんで?」
「なんでって……そんなん当たり前じゃない!!
だって、相手は遊び人なんだよ?
ぜったいぜったい、手鞠ちゃんが傷つくんだよ?」
うん。
知ってる。
でも……どうせ、叶わない恋なら、伝わらない恋なら、
あたしのことを知ってほしい。
そう思うのは、だめなことなのかな……。