∮ファースト・ラブ∮
「ふっ…………っく……っふ」
あたしは泣きながら段差の高い階段を下りていく。
そのせいで、何回も何回も体は前のめりになる。
階段から転げ落ちるのを、なんとかふんばって、1階のドアへとたどり着いた。
取っ手に手をかけてドアを開けようとした直後だった。
ドアはいきなり開く。
「きゃっ!!」
ドン!!
ドサッ!!
勢いよく誰かとぶつかって、後ろへとおもいきりはじかれる。
「ちょっと!!
痛いじゃない!!」
ぶつかったのは女の人みたい。
とても怒っている声はどこかで聞いたことがある。
でも、今は涙のせいで視界が揺れて何も見えない。
「ふっ……っく……ごめ……」
謝ろうとするけど、声が嗚咽で消えてしまう。
「ちょ!!
手鞠ちゃんじゃない!?」
どうしてあたしの名前を知っているんだろう。
思っている間に、女の人の手によって立たされた。
倒れたせいで埃まみれになった服をはたいてくれた。
「大丈夫?
なんで泣いてるの?
いったいどうしたの?」