∮ファースト・ラブ∮

それに……彼女とは、なぜだろう。

以前にもどこかで逢ったような気がしてならないんだ。






――――だが、どこで逢ったのか思い出せない。







あんなにかわいい娘を忘れるなんて有り得ないんだが……考えても思い出せない。




まったく……最近のぼくは自分でもおかしいと思う。


昨日、紀美子(きみこ)に言われたとおりだ。


紀美子というのは、ぼくの事情をすべて知った上で付き合っている、

いわば体だけの付き合いの女性。


容姿は美人だが、きつい性格なのはたしか。




ぼくとの関係は、体の相性がいいただの友達。


彼女の性格はとてもサバサバしていて、姉御肌なところがある。

ぼくの想い人である香織とは正反対の性格だ。

ぼくは彼女に惹かれはしないが、人間的に惹かれている部分がある。


彼女は、自分が気に入らないことはしないから。

女王様に近い彼女の性格は、見ていて楽しい。




紀美子はぼくに何も意見はしないし、何も求めない。


ぼくももちろん、彼女には何も望まないし求めない。



紀美子とはそんな関係だ。




ぼくは彼女の様な性格の女子を側に置く。


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