∮ファースト・ラブ∮

手鞠ちゃんのような純粋な性格の娘はまず、側に置かない。

理由は、ぼくが友人である彼女に想いを寄せてしまった穢(けが)れた存在だから……。


にもかかわらず、ぼくは彼女、手鞠ちゃんの告白を受け入れた。

その時の彼女はとても必死だったからだ。


告白を受けなければならない。


さもなくば、消えてなくなってしまうのではないか……そう思った。





なぜ?

それはわからない。




だが、たしかにそう、思ったんだ。




彼女の告白に応えた瞬間、ぼくの姿は彼女の瞳に捕らわれた。


それは、とても美しい、宝石のような輝く瞳。







昨日の放課後、紀美子に手鞠ちゃんは他の女同様、抱かないのかと問われた。

その時に、ぼくの気持ちが判明してしまった。

『彼女は抱かない』


違う。

『抱かない』のではなく、『抱けない』が正解。



彼女を……手鞠ちゃんをぼくの手によって穢(けが)したくなかったから……。





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