∮ファースト・ラブ∮

∮***

Side:
    .+*麻生 久遠*+.
    .+*Kuon asou*+.










「睦…………。

なぜ、ぼくの過去を話したんだ?」

ぼくは手鞠ちゃんの姿がなくなった直後に話を再開させた。



「やっぱ、聞かれてたか……」


睦は頭をかいてうな垂れる。


「どこから聞いていた?」

「はじめから。

ここに来る睦と手鞠ちゃんの姿が見えたから追ってきた……」



そこまで言って、ぼくは口を閉ざした。


続きを…………言いたくなかったんだ。


睦が手鞠ちゃんを連れてどこかに行くなんて。

しかも、ぼくの知らないところで、だ。



なぜ、そう思うのか。

それは……多分、もうわかっている。




ぼくは……手鞠ちゃんに興味を抱いている。









それは、はじめて告白してきた時からだ。

一生懸命お辞儀をして、手紙を持つ手が小刻みに振るえていた姿は、忘れられない。


とてもかわいらしい姿だった。



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