∮ファースト・ラブ∮
「ふわ~~ん」
授業と授業の間にある15分休憩。
1年5組の教室。
机に突っ伏したあたしがいた。
「なに? まだ2限終わったとこなのに、もう脱力?」
森井 藍良(もりい あいら)こと、
あいちゃんがあたしの席の前に座って訊ねてきた。
「ぐふふふふふ~」
あいちゃんの言葉の返事の代わりに、あたしから出たのは笑いだった。
「ちょっと、手鞠?
どうしたの?」
心配性なあいちゃんは、あたしの調子がそんなんだから様子をうかがってくる。
うん。
大丈夫。
ちょこっと壊れてるだけで、たいした問題はない。
あたしは笑ったままコクコクと机に突っ伏したまんまでうなずいた。
そんなあたしだから、さっきよりも不安を覚えたみたい。
「手鞠?」
あたしの両肩を持って顔を浮かせた。
目の前には大きな目をしたかわいいあいちゃんがいた。
眉はおでこに寄っている。
とても心配してるみたい。
「にひゃひゃひゃ…………」
机に突っ伏して笑いを抑えていたあたしの顔を机から離したもんだから、
おかしな笑い声が休憩中の教室に響いている。