∮ファースト・ラブ∮
「な!!
紀美子!!
お前いつから……」
紀美子……そう。
この女は久遠の取り巻き連中の中のひとり。
井上 香織と同じクラスの藤原 紀美子(ふじわら きみこ)だった。
「いつからって……あんたたちがここに来る前からずっとよ」
手を腰に当てて面倒くさそうに話す。
「久遠が……彼女を……ねぇ」
紀美子はニヤリと笑っている。
こういう時の紀美子は何か恐ろしいことを考えている証拠だ。
「お前……まさか手鞠ちゃんに何かする気じゃないだろうな?」
いやな予感がして紀美子に問えば、「あ、そうね。いい考え~」笑ってそう話した。
おい。
おいおいおいおいおいおい!!
尚吾ならともかく、お前まで何かよからぬことを考えたりしたら、手鞠ちゃんがいったいどうなるか!!
久遠がどうなるか。
「紀美子!!
何を考えてるのかは知らんが、手鞠ちゃんには手を出すなよ?
彼女は被害者なんだぞ!?」
「被害者?
そういう言い方って、久遠に対して、そして何より、久遠に好意を抱いている彼女に失礼なんじゃない?」
ぐ………………。
それは……そうだ。
オレは自分の失言に口を閉じた。