Beautiful Butterfly
静かにソファに歩み寄り


そっと、花音の耳元で囁いた。




「僕は、雨だれの前奏曲。」



僕の気配に気がつかなかったのか


花音は少しだけビクリと身を震わせ



驚いたように僕の顔を見上げる。




「雨だれの……前奏曲?」



そして、大きな瞳を揺らし


小さな唇を不満げに突き出した。



「あの曲が、好きなの?」



わからない、というように

露骨に顔を歪める花音――……



予想通りの反応に

思わず、クスリと笑みが零れてしまいそうになる。
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