3つのナイトメアー


まり体の震えが止まらない。父は、かえってそんな恭子をなだめるように、苦


しそうな息遣いの下、無理に作った笑顔で弱弱しく言った。


「恭子、忙しいのに来てくれたんだね。有難う。子育て、大変なんだろう? 


パパのことは心配しないでいいから」


「パパ、いつからこんなことに」


 恭子が父の手を握りしめ絶句していると、父にずっと付き添っていた母が、


恭子にそっと目配せをして病室の外へと導いた。酷い別れ方をしても、父のこ


とを決して嫌いになれない母だから、知らせを聞いて、いても経ってもいられ


なくなって、かけつけたようだ。


「恭子、パパはね、パパはガンなの。末期の胃がんで手術するには手遅れだか


ら、抗がん剤で延命治療するしかないって、お医者様が」


 恭子は、一気にそう言ってから泣き崩れる母の肩を抱いて懸命に慰めた。


「ママ、しっかりして。パパは、このことを
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