シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
軽く上げた右手に、渋谷で飛び交う大量の電力を集め、それをそのまま地面に打ち付けると、青光は四方八方に拡がりながら1点に上昇し、僕達3人を包み込む…青色の籠の形状を象る。
そして僕は同時に、ポケットの中の月長石に力を蓄える。
渋谷という不夜城の電力が枯れぬ限り、長い力の放出を余儀なくされたとしても、僕には好都合だ。
蝶もどきの敵は、後から後から溢れてくる。
バリバリ。
ジリジリ。
まるで夜、明りで誘い込む…誘蛾灯のように、僕の結界に近付いたそれらは瞬時に黒焦げとなる。
「玲…先刻、よくあれをピンポイントで攻撃出来たな?」
櫂が訝しげな目を見せる。
「攻撃って…明らかに蝶が大群でお前達に向かっていたじゃないか」
結界越しに見るそれに目を遣れば、
「玲くんは見えるんだね!!?」
感極まったというような、芹霞の声がして。
「よかった~、あたし自分がおかしくなったかと思った!!!」
「どういうこと?」
「芹霞とお前以外には見えないんだ。その"蝶"とやらが」
「え?」
こんなに――
はっきりと見えるじゃないか。
「更に困ったことに、俺の風の力は初回こそ効果あっても…やがて無効化されるようだ。いや違うな、向こうが俺の力に耐性が出来たらしい。芹霞がいうには」
櫂は苦笑した。
「かといってここで闇の力を使うには、人が多すぎる。アレは風と違って、膨大なエネルギーを放出するからな。細心の注意を払ったとしても、姿が見えない"移動する敵"だけに向けて制御出来るか自信がなかった。一つ間違えれば、2ヶ月前の再現になってしまう。
お前の力は特例らしいな。ずっと敵を弾き続けられている」
それは少し、悔しそうな声で。