シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


芹霞なら。


同じ家で8年間、一緒に過ごしてきた…緋狭さんの妹なら。


きっと煌は持ち直すと思ったから。


あんな状態の煌は、芹霞をどうこうしたいなんていう気力はないように思えたから。


むしろ、そうなっていたとしたら、煌に元気が戻ったと言うことで、俺にとっては複雑な心境ながらも…煌の笑顔が戻ったということが嬉しく感じるだろう。


だから、2人にさせたんだ。


煌が煌である為に。


その為には、芹霞が絶対的に必要だったから。



「ねえ…煌が何か指差しているね、中庭の奥」


俺達はそちらを見つめた。


「誰かいるね」


そして俺達は認めたんだ。



腰まである黒い髪を靡かせた…桜華の制服を着た女の存在を。



「櫂、嫌な予感がする。行くぞ!!!」



そして玲は、遠坂を肩に担ぎながら、窓から飛び降りた。


真夜中、遠坂の悲鳴も響き渡る。



そりゃあそうだろう。


ここは3階だ。


俺は苦笑しながら、窓から飛び降りた。


< 655 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop