シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「ねえ、朱貴っていつも紫茉ちゃんにああなの?」
『ああ!!! あたし以外には丁寧語で優しい天使のように接するのに、あたしには初対面からあんな言葉遣いで悪魔に接する。見ただろう、翠への態度!!! あんなものさ、普通は。まあ…翠に対しては、異常な程過保護だけどな。あたしには罵倒して殴るし…』
愛だとしたら…ある意味、極端過ぎて判りやすいが…紫茉ちゃんにとってはまるで難解だろう。
「そんな目にあって…よく一緒にいるね」
『離れたいのは山々なんだが…周涅の知り合いだし、一緒に住んでいるし。倒れたら、こちらが望んでなくても朱貴が介護してくれるし。朱貴のおかげで回復早くなったし…。まあ…悪い奴ではないと思うから、仕方が無いというか。暴力行為がなければ、もう少し好きになれると思うんだが。人は生まれながらにして、悪人はいないと思うし…嫌うことだけはしたくないからな』
ああ、平等精神に富んで"性善説"を重んじるんだ、彼女。
そういう人って…恋愛面では疎そうだ。
芹霞のことを鈍感だと笑ったけれど、彼女だって似たようなものだと思うんだ。
「類友だよね、君達」
『え?』
だとすれば、極端過ぎる朱貴の態度で、彼女には丁度いいのかも知れない。
彼女の"特別"。
少なくとも、平等の…その他諸々の1人ではなく、彼を強く認識して貰えているのだから。
「それもまた…策か。だけど僕には…ああいう態度は取れないな。……いや、こちらの話、…ドア開けるね」
ドアの向こうの世界は――
無秩序に…荒れていた。
音声と映像が…縦横無尽に飛び散り…一貫性がなく。
これを1つに繋げて"判断"など出来るのだろうか。
「紫茉ちゃん…時間まで、あとどれくらい?」
『時間進行は現実より多少長い。2,3分前になったら教えてやる』
「ありがとう」
じゃあ…踏み込むか。
嵐のように吹き荒ぶ…"エディター"の心の中を。