シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
『目覚めれば、あいつが悪魔の顔で傍に居て。驚いて逃げても連れ戻され、文句言えば怒鳴られる。"あれくらいで許すと思うか"って…熱出しているあたしは、張り付く朱貴に何日間もずっといびられ続け、寝ても覚めても悪夢にうなされ続けたよ。ふっ…好奇心は身を滅ぼすっていうの、格言だよな…。

もう懲りた。二度とあいつには潜らん、絶対に。それ以来、それがトラウマになって、不定期に強制的に連れ込まれるモノを"視る"だけにしていた』


「それは…ご愁傷様…」


"夢で逆に待ち構えられていて"


心を見せたくないのか、朱貴は。


彼に…心を許す場所というものは存在しているのだろうか。


ふと…そんなことを思った。


「あれ…紫茉ちゃん、ドアがあるよ…?」


行き当たったのは古びたドア。


何でこんなモノがあるのだろう。


『ああ、それが…他者への通用口なんだ。すまん、それは…あたしの趣味だ。実物は…ちょっとあれなんで。他者の意識は変えてはいけないルールはあるらしいが、それだけは例外で認められているらしい。今までそれについて反撃は食らわないからな』


趣味…

実際は、違う形をしているのだろうか。


『玲、お前も変えるなよ? あたし達は主観はあるけど、ルールは夢を見ている者に委ねられている。そのルールをねじ曲ようなどしてしまったら、閉じ込められるからな。あたしは、本当に朱貴の夢から命からがら…逃げてきたんだからな』


朱貴にとって紫茉ちゃんという存在は何だろう。


紫茉ちゃんから聞く限りにおいては、そして朱貴の接し方を見ている限りおいては、紫茉ちゃんを目の仇にしているようだけれど…だけど憎悪はない。


じゃあ何だ?


まさか――

――…愛?


まさか!!!
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