シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「ああ、そうそう。私を痛めつけて言うこと聞かせようとしても無駄よ? 私が傷つけば、この世界は自動的に閉じて消える。だって此処は私が居て成り立つ世界だもの。これは…道理よね?」


くすくす、くすくす。


僕は…"エディター"を睨みつけた。


「さあ、私に傅(かしず)きなさい。私に忠誠を誓うのは…どっち?」


王に…なりたいと言っていたのは、一縷だったはずで。


ああ、だけど櫂が知るイチルとこの女が別存在だというのなら、この女が"王"を望んでもおかしくない話で。


「…判った。じゃああたしが…」


紫茉ちゃんの覚悟めいたその顔を見たから。


僕は言った。


「…僕が此処に残る」


櫂、ごめん。



「だから、紫茉ちゃんは無事に返してくれ。それが条件だ」


芹霞、ごめん。



したり顔の"エディター"。



「玲!!! 無理だ。この世界に不慣れなお前では、突破口は…」



僕は微笑んだ。



「覚悟していたことだから」



僕は、狂気の世界から抜け出せられないと…


狂気に浸かってしまうと…


そう――予感していたから。


だから"エディター"に近づきたくなかった。

関わりあいたくなかった。


だけど。


「紫茉ちゃん。

芹霞の友達になってくれてありがとう」


僕は微笑んだ。


「君が僕達に向けてくれた、優しい心は…忘れないから」


例え此処から出れなくなっても。



「櫂と芹霞に…伝えて?


役に立てなくて…

約束破って…


――ごめんって……」



そして。


「煌に…後は頼むって伝えて欲しい」


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