シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「紫茉ちゃん!!?」
僕が紫茉ちゃんに駆けつけようとした時、"エディター"が僕の腕にしがみついた。
「玲さんは私の王子様なの。私の処に来て?」
そして――
「私の王子様を横取りしようとするお前は邪魔。
――…消えなさい」
そして取り出したのは、場にそぐわぬ万年筆で。
嫌な予感がした僕は、その万年筆が紫茉ちゃんに向けられる前に、"エディター"からもぎ取った。
力勝負なら、男の僕が女に負けるはずはない。
やはり僕は…この子と相容れぬ存在だと…そう改めて確認した時だった。
ゴゴゴという重音が、鳴り響いたのは。
同時に…僕の身体に痛みが走る。
紫茉ちゃんも同様のようだった。
「玲、この世界が…入り口を塞ごうとしている。いや違う…帰るべき場所が滅ぼうとしているんだ!!! やばい…戻るぞ、戻らねば…出口がなくなってしまう!!!」
"エディター"は薄く笑った。
「私が…逃すと思って?」
くすくすくす…。
冷めた笑いが響き渡る。
「この世界では、私が"王"。無駄よ、玲さん。貴方の電磁波の力は此処では役に立たないわ。無効化の絶望、もう一度味わいたのなら、どうぞ思う存分」
それは、僕に対する皮肉。
確かに、意地になった僕の力は…発動されなかった。
「だけど私は、無慈悲な君主ではないわ。紫堂の次期当主のように」
くすくす、くすくす。
ゴゴゴゴゴゴ。
焦って色をなくす、紫茉ちゃんの顔。
「選ばせて上げる。ここから1人だけ、見逃してあげる。
だけどもう1人は…此処に残るの。永遠にね」