好きって言って!(短編)
うん。

私も本当は少しだけ、そうなのかなって思った。

淳也は嫉妬してくれたんじゃないかって。

本当は私のこと好きなんじゃないかって。

何だかんだ言って、気にかけてくれてるし。

キスだってエッチだって、いつも優しいもん。

―――だけど。

「そもそも、女の子を満足させられるようになるまで教えてあげる、って約束だから。
『約束放棄するんじゃねぇぞ』って意味にもとれるし…」

自信なさ気に言うと、和泉は呆れたようにため息をつく。

「もういい加減、当たって砕けな!
本人に聞こう」

和泉は私の手を引っ張ると、校舎をずんずん進んで行く。

「ちょっと、待って…」

「確か吉成くんと、今日の午後の講義カブってたよね。
もう教室にいるかなー」

「待ってってば。
私、まだ心の準備が…」

「あれ?」

教室に入ろうとしたところで、和泉の足が止まった。

講義が始まるまで時間があるから、教室内には学生はまばら。

その中に淳也の姿があった。

だけど。

「あれって…」

見間違えるはずない。

「西園まりえじゃん」

淳也の隣には、まさに雑誌から抜け出したみたいにかわいい、まりえちゃんがいた。

二人は仲睦まじく、談笑なんかしちゃってる。
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