社長と小悪魔ハニーの年の差婚
美古は顔を俯かせて、俺と視線を合わせようとしない。



「・・・」


まだ、始まったばかりの不妊治療。


何の苦労もなしに、子供を授かれる栗原夫妻が羨ましい。


「気長に…頑張るしかない」


「トーマ…」


「人にはそれぞれ、ペースってものがあるんだ…。俺たちはスローだけど…それでもいい。現実に向き合い、努力するコトが大切だ」


「そうだけど…本当にゴメン…」


俺は美古の右手に手を乗せた。


彼女の手の温かさが愛しい。





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