胸の音‐大好きな人へ‐
いつか好きな人ができた時のために……と、恋愛マニュアルに敏感になったのはこの頃から。
雑誌のコラムやテレビのバラエティーで、
《イイ男》
《女にモテる秘訣》
《恋人と長続きするために》
なんて言葉を見聞きすると、全身をアンテナにして情報収集した。
次の恋は、もっとうまくやる……!
相手の子を退屈させない男になる。
いつでもどこでもカッコイイと思われるようなね。
俺のことを冷たく突き放した藍。
それでめちゃくちゃ傷ついたのも確かだけど、こうしてまた、俺を突き動かしたのも藍だった。
藍。大事なことを教えてくれてありがとう。
幸せになってな。
高校も別々になり、今どこでどうしているのか分からない藍に対して感謝の気持ちが生まれてしばらく経った高2の夏、春佳に恋をした。