胸の音‐大好きな人へ‐
心の中で俺は、強がって平気なフリをしてみたり、春佳と別れた後のことを想像して絶望感に苛まれたりを繰り返し、
気が付くと、距離を置きたいというメールを受けてから一週間と2日が経っていた。
楽しかったはずの大学。
仲間とはしゃげるサークル。
大学に入学してからの半年間、いつだって時間が過ぎるのは早かったのに、春佳からのメールが途絶えたという現象ひとつで、時の流れは鈍化した。
街ではクリスマスに使われそうな曲が流れていて、ますます気分が滅入る。
あと10日もしたらイヴなのにな。
大学を終え最寄駅までの道を歩いていると、途中にあるショッピングモールのショーウインドーに飾られた綺麗な服が目に入った。
繊細な作りをしているし、春佳に似合いそうだな……。
でも、買う意味ないよな。渡せるかどうかも分かんないのに。
昼間、学食で一緒にメシ食ってたヤツが、彼女のプレゼントにひそかに高いブランド物用意したってはしゃいでたっけ。
それに内心イラついたけど、学内でもポーカーフェースで通ってる俺の本音を見破るヤツは一人もいなかった。